自律分散型投資戦略

「株で絶対儲かる方法教えます!!!」

ああ、胡散臭い。間違いなく詐欺だ。この世に絶対なんてないのに。いわんや投資をや。

でもこれ見てくださいよ。

 

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multpl.comより引用)

 

これはS&P500と呼ばれているアメリカを代表する500社の株価をもとに算出した株価指数で、アメリカ経済のベンチマークみたいなものです。日本で言うところのTOPIX的なポジション、ですかね

・・・ずっと上がってるじゃん。絶対勝てるじゃん!

 

しかし150年チャートはいくらなんでも長すぎて直近の動きが霞んでしまうので、もう少し最近のチャートを。

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(S&P500でググると出てくるやーつより引用。2019年3月26日時点の数値)

 

こうして見ると、「ずっと上がってる」はだいぶ盛った表現で、2000~の数年とか、リーマンショックのときなんかは結構がっつり下がっています。でも注目してほしいのは、そういった大きな下落があっても、結局盛り返して直近が最高値になっていることです。特にリーマンショック後10年間の伸びが目覚ましい。そもそもこのS&P500という指数, 1941−1943年の値が10(基準値)となるように算出されていることからも、これまでいかに株価が伸びてきたかがわかると思います。この80年近くで280倍くらいになってる。

今が最高!

 

つまり、短期的には山あり谷あり波はあるものの、株価というのは経済が成長する限り長期的には上昇していくものなのです。昔から長期間株を持ち続けていた人はみんな勝利者になっていて、いわばプラスサムゲームの状態です。この性質はFXとかデイトレードとか諸々の賭け事とは異なっており、以前の話と繋がりますが、「株はギャンブル」と言われると違和感を覚える理由はこの辺にあります。

 

とはいえこれはあくまで市場全体の話で、個々の銘柄はこの限りではありません。もっと伸びている企業もあれば、経営破綻して株の価値がなくなってしまった企業もあります。小さな会社だけでなく巨大企業でもそうなりうることはエンロンリーマン・ブラザーズなどを見ればわかるでしょう。また、破綻まではいかなくとも業績が悪化して現在満身創痍のゼネラル・エレクトリック(GE)の例もあります。GEは一時期時価総額世界一になったこともある企業で、不調になる直前までは安定・高配当株として日本人投資家からもかなり人気がありました。

つまり、どうしても個々の企業に投資するというのはリスクの高い行為になってしまいます。

しかしそんな企業がありながらも市場全体としてはここまで上昇してきました。

なので理想をいえば個々のリスクを極力分散させて、どこかが落ちても他のどこかが引っ張って全体の資産を守ってくれるように、それこそあらゆる企業の株を買い集めるのがいいということになります。

・・・そんなこと個人の資金でできるわけないじゃん。

 

 

と、ここで朗報だ!そんな素敵な夢を叶える商品がある!その名もインデックス投信!

 

インデックス投信というのは先程紹介したS&P500やダウ平均といった株価指数、もしくは株式市場全体の動きと連動するように設計された投資商品のことです。めっちゃ大雑把に言うといろんな企業の株が詰まった箱が販売されていて、中身は誰かが(運営会社が)管理してくれるイメージです。

インデックス投信を購入するだけで何百とか何千といった銘柄に簡単に分散投資することができるので、先ほどのような戦略がとっても簡単に取れるんです。

 

これぞ自律分散型投資戦略!

(タイトル回収。ちなみに「自律分散型」って単語がかっこいいなと思って使ってみただけなので、多分こんな言葉はない)

 

ちなみにインデックス投信の中には、株式市場に上場されていて株と同様に売買ができるETFという種族もいます。これは“Exchange Traded Funds”の略で、まあ何の略かはどうでもいいんですが(なぜ言った)私はこっちを買っています。どちらにしても理論上値動きは同じになるはずなので、どっちでもいいと思います。購入時の手数料とか信託報酬(運営費)とかに違いはあるので、もし興味があれば購入する前に比較検討してみてください。一長一短です。

 

ちなみに私が買っているETFはこの2つ。

 

  • VTI

アメリカの上場企業ほぼ全てを対象とするETFで、簡単に言うとこれだけでアメリカの株式市場をまるごと買えるようなものです。運営会社はVanguard社で、同社は初めてインデックス投信を世に売り出した、長い歴史と絶大な信頼のある企業です。ちなみにこのVTIを始めとしたVanguard社のインデックス投信は、最近楽天とコラボして気軽に購入できるようになったらしいです。なんでも楽天ポイントで購入することもできるとか。ポイントなら身銭を切るより痛みは少ないので、まずはそこから始めてみるのもありだと思います。

 

  • DIA

こちらはおなじみNYダウ平均と連動するETF。ダウって指標としては有名だけど銘柄数が30しかないので、分散投資という意味ではS&P500(500銘柄)やVTI(3,500銘柄くらい)より劣っていて、事実人気はそれらに譲っています。じゃあなんで買ったかって?わかってるでしょ?DIAだからですわ!

・・・まあそれでも地球のボスたるアメリカのトップ企業のセットですから、こちらも優れた商品だとは思います。

 

他には“SPY”を始めとする、S&P500に連動したETFが人気です。これはあの世界一有名な投資家であろうウォーレン・バフェットおじいちゃんもお勧めしている商品です。お墨付きです。まあ値動きとしてはVTIとの差は誤差レベルなので好みでどっちでもいいと思います。

 

これらのETFは定期的に分配金という、配当金みたいなものがもらえまして、これを元手にどんどん買い足していくと、さらに分配金も増えて、もっと買い足せて…と、雪だるま式に資産が増えていく、という寸法です。これを複利効果といって、金融庁のサイトにも解説があるので見てみてください。夢が膨らみます。

 

さて、長期投資を前提で考えるならば非常に魅力的なインデックス投信(&ETF)ですが、もちろん注意点というか、心に留めておくべきことはあります。

 

  • 一攫千金は狙えない

まあ、これまでの話からして自明ではありますが、これは10年とかそういう単位で時間という武器を使ってじわじわと増やしていく方法なので、これを買えば一攫千金!億り人!とはいきません。特に最初の方、雪だるまが膨らむまでは効果が実感しづらいです。じわじわといってもVTIやS&P500なんかは過去の結果を見るとかなり高いパフォーマンスを発揮しているので、充分だと思いますが。そして、時間で殴る戦法なので、始めるなら早いに越したことはありません。

年金みたいなイメージで運用していくのがいいかもしれませんね。公的年金、あてにならんし。

 

  • 繰上償還の可能性

運用資金が足りなくなった投資信託は解散してしまい、その時点の価格で強制的に決算されてしまいます(繰上償還っていうらしい)。つまり買ってくれる人がいなくなった場合は店じまいしちゃうんですね。まあ上に挙げているのは世界的に人気のあるものばかりなのでまず恐れることはないでしょうが、一応そういうこともありえますよということで。

 

  • 未来のことはわからない

さっきの2つよりこっちのほうがよっぽど重要で、上の方にもさらっと書きましたが、「長期的に株価は上昇していく」というのは、「経済成長が続く限り」という前提の上成り立っています。つまりここが崩れたらおしまいです。過去、今までは上昇(成長)を続けてきましたが、これから先何十年も同様に上昇していく保証はどこにもありません。

 

これを踏まえると、インデックス投信を購入するならアメリカを対象にするのがいいと思います。そもそもなんで今回いきなりアメリカの話をしたかというと、日本だと今回の話、いまいち説得力に欠けるからです。過去にバブル経済という異常期があり、日本経済は未だその頃の水準に回復していません。日本はこれから人口減少という未知なる体験をすることになるし、そうなると内需自体がクリティカルに減っていくわけですから、どうしても暗い未来を予想してしまいます。

その点アメリカは誰もが認める地球のボス、資本主義の親分です。これからもアメリカは人口が伸びていくし、イノベーションを起こし、経済成長を続けていくでしょう。言ってしまえばアメリカがこれから先も世界の牽引役で居続ける保証だってないわけですが、やっぱり一番太い綱はアメリカだと思います。なので長期投資の対象としてはアメリカが最も優れている、と信じています。いまアメリカって何回言った?

あるいは、これから先のパフォーマンスでいったら新興国の方がアツいかもしれませんね。これからどんどん発展していき、それに伴って株価も順調に成長していく、んじゃないかな、多分。しらんけど。

 

ともかく、このインデックス投信というのが有力な選択肢であることは間違いないので、資産運用を始めたいという人は検討する価値が大いにあると思います。

 

結局、絶対儲かるなんて嘘だね。やっぱ詐欺じゃん。みんなも気をつけよう。